アニメ ラブライブ!虹ヶ咲 中間感想(個人回を終えて)

アニメ虹ヶ咲見てますか?

予想されていた方も多いですが、1~9話はニジガク9人のメンバーに順番に焦点を当てながらストーリーを展開していく所謂個人回の連続でした。

来週の10話からの展開も気になるところですが、現時点の感想を残しておきたいなと思い今回感想ブログを書くに至りました。

 

第1話 はじまりのトキメキ

つかみはバッチリ!と唸らせてくれた、いい意味で期待を裏切られた歩夢回。

ノルマともいえるキャラクターの顔見せをしながら、ストーリーの今後の展開を示唆する同好会廃部というキーワードが複数のキャラの口から出ているのは1話として及第点と言えます。

この回の魅力は終盤のマンション前での一連のシーンに詰まっています。

侑に振り回される歩夢という構図が、歩夢から心情を吐露し手を差し出すことで、二人の関係が一方的なものではなく肩を並べる形であることが視聴者にも印象的に伝わります。

一見、冒頭のせつ菜のソロライブから物語が動き始めたように思えるのですが、その前のショッピングシーンからの伏線(トキメキを感じないパスケース・ピンクの可愛い服)を終盤のシーンへ繋げていたと気づかされるのは脚本の妙ですね。

 

第2話 Cutest♡ガール

かすみ回。

おちゃらけたキャラクターでありながら"カワイイ"に拘りを見せる女の子。パン作りが趣味で「かすかす」呼びを嫌がるなどこれまでに形成されてきた”かすみ”像がしっかりと描かれています。

1話では不明であった同好会が廃部になってしまった理由も語られます。それは、せつ菜とかすみの目指すスクールアイドル像の不一致からくる不和によるものでした。かすみが自ら語ることで、せつ菜も自分と同様に強い気持ちを持っている事を悟り自省の念に駆られるのですが、侑との交流やPV撮影で語られる歩夢の思いを知ることで、かすみはその悩みを各個人の信念を曲げずにやっていける、"ワンダーランド"な同好会を目指す決意へ昇華させました。

虹ヶ咲のテーマでもあるソロアイドル重視の方向性に持っていける脚本でうまくやっているなと感心します。

また、果林先輩が同好会外の人物ながら、歩夢へのアドバイスやせつ菜が架空の人物である指摘をする事できちんと物語を進める役割を持っているのも良かったですね。 

 

第3話 大好きを叫ぶ

せつ菜回。

せつ菜=生徒会長・中川奈々にとって「同好会における活動」とは「ラブライブ!を目指す」ことでした。作中の菜々によって語られていますが、このラブライブ!とは、シリーズではお馴染みのスクールアイドルたちが競いあう大会の事です。

スクールアイドルが大好きだからという素朴な気持ちから始めたはずの活動で、その熱意が空回りした結果、同好会は解散したようです。(せつ菜離脱により規則の部員最低5名を下回った?)

この回では「わがまま」という言葉が象徴的に使われています。

同好会内の空気が悪くなったのはせつ菜の自分の理想を押し付けるわがままな考え方から。そんな自分抜きで同好会を新しくやってほしいと願うのがスクールアイドル活動における最後のわがまま。

一方で他のメンバーがせつ菜が同好会に必要だと語るのもある種のわがままですよね。

そして一番の衝撃であった「ラブライブ!なんて出なくていい!」という、これまでのシリーズに反するような侑の言葉はせつ菜(と視聴者)の気持ちを揺さぶったわがままな発言です。

ただ、対話の中で直接相手に気持ちをぶつけているのが他の「わがまま」とは違うポイントです。

言葉にした事で"わがまま"な思いが伝わってせつ菜はスクールアイドルに復帰することを決意します。今度は、自分だけでなくみんなのダイスキが溢れた同好会を目指して。

 

第4話 未知なるミチ

愛さん回。

ラブライブ!に出なくてもいい!という発言から、同好会の活動方針を模索する回でもあります。

3話のせつ菜ゲリラライブに感銘を受けて同好会に入部する愛と璃奈。その二人を中心に据えた練習風景の中で、愛の人柄やハイスペックさを描写しています。

それぞれの良さ・持ち味を生かすためにソロアイドルをやろうという展開の中で、愛は明確な答えのないアイドルの世界に"一人"で立ち向かうという事実から不安にさいなまれるのですが、エマを通して他人からの評価を知りそれが自分の強みなのだと気付きます。(就活の自己分析みたいですね)

愛さんには楽しい気持ちを共有してみんなを笑顔にするアイドルになってほしいですね。太陽をつかめるのは、ラブライブシリーズにおけるオレンジ色の特権です。

余談ですが、この回は愛推し以外には比較的無味な回って言われても仕方ないかもしれないですね。愛の基本的な能力の高さやコミュ強具合は感情移入するハードルも高く、愛が悩む描写自体他の個人回と比較しても短い印象を受けます。愛自身はきっとランニングの間に思考を巡らせていたのでしょうが。。推している身としては今後掘り下げや活躍の場面があると嬉しいですね。

 

第5話 今しかできないことを

エマ回。果林にもスポット当たってます。

冒頭のシーンではスクールアイドルに憧れて留学してきたエマって行動力の塊なのでは?という気付く事が一番大事だったりします。

同好会活動を頑張るエマと、そのエマを応援する果林の関係は歩夢と侑のようでもありますが、同好会の輪からは一歩距離を置こうとする果林。しかし、その態度はスクールアイドルへの興味・自分の気持ちに素直になれていないことの表れであることがわかります。

偶然本心を知ってしまったエマは果林を街へ連れ出し「人の気持ちをあたためられるスクールアイドル」の第一歩としてすぐそばにいる果林の気持ちに寄り添ってあげて、無事果林も同好会のメンバーに加わるのでした。

「やりたいと思った時からきっともう始まってるんだと思う」

ラブライブ!で描きたいこと(私が描いて欲しいと思っていること)の一つだと思います。

 

第6話 笑顔のカタチ(⸝⸝>▿<⸝⸝)

璃奈回。

これまでの回でもしばしば描写されてきましたが、表情が上手く作れないことをコンプレックスに感じている璃奈。

表情が上手く作れないからコミュニケーションを取るのも不安になる。

そんな自分を変えたい、沢山の人と繋がりたいというのが璃奈の願いでありスクールアイドル活動を通してその実現を目指します。

璃奈のソロライブに向けて同好会が一丸となり練習に励むのは前回9人のアイドルがそろったからこその展開ですね。

しかし、練習をどれだけ重ねても表情を作れないことが璃奈の心に影を落とします。その結果家に引きこもり、家にメンバーが訪ねてきても段ボールの中に隠れてしまう始末。

しかし、顔が見えないままのコミュニケーションでも璃奈は自分の気持ちをキチンと伝えられるようになっています。それは間違いなく同好会の面々との活動の中で育んだ成長によるものなのです。だから、同好会の面々は璃奈を肯定し、励まし、抱きしめたのです。

「璃奈ちゃんボード、にっこりん」

虹ヶ咲が始まって初出のイラストから璃奈はこのボードを付けていました。

スクスタではそのボード・スケッチブックを外した姿を初めて見せて、アニメでは逆にボードを付ける過程を丁寧に描いた事で、メディアの違いを一番活かせているキャラなんだなと痛感しました。

いつか心から笑える日が来るといいですね。

 

第7話 ハルカカナタ

彼方回。妹の遥ちゃんも出てきます。

スクスタでは成績優秀者対象の特待生という設定がありましたが、貧乏設定に拍車がかかり、負担が高3のそれとは思えない彼方。唐突に寝てしまうのも過労が原因なんですかね。

既に名前は出ていましたが、東雲学院というスクフェス時代の設定が前面に出てきているのは古いオタクにはうれしい演出です。

しかし、遥は同好会の見学で倒れるように眠る彼方の姿を見、「頑張りすぎ」だと断じて姉妹喧嘩に発展してしまいます。

しかし、お互いに思いあっているからこその意見の対立であり、解決も決して難しい事ではないんですよね(家庭の事情は隅に置きます)。

彼方は遥に自分のライブステージを見せることで、同じスクールアイドルとして競い合いたいという意思を伝えます。これからは彼方が抱え込み過ぎるのではなく姉妹で支えあっていけるようになったので、唐突に寝る描写はなくなる…のでしょうか。

本筋とは関係ないですが、曲がこれまでのソロ曲とは違う方向性の楽曲で驚きました。エマ・しずくもその向きがあったのでスクフェス発組は楽曲の方向性を意図的に変えているように感じます。スクフェスの方はテキストスキップしていたので今度読み直そうと思います。

 

第8話 しずくモノクローム

しずく回。1年生組で仲良くお出かけしています。

まず感心したのは、心内描写。高いカメラから舞台の板が映っているときは現実の稽古や本番の描写、そうでないときはしずくの心内描写と区別して描かれているように思います。(現実の時は黒しずくの背が明確に高く描かれているように見えます。的を射ていない解釈だったら恥ずかしいですね)ラブライブシリーズではシームレスに描写が切り替わる、場合によってはどれが実際に起こっていることなのか難解なこともあった中で、その差を丁寧に描いているのは視聴者に優しいです。

とはいえ、私はこの回をうまく飲み込むことができませんでした。「演技をする」というのが「自分の気持ちを隠す・偽る」のと混同して語られていたのが微妙に感じたところなのだと思います。演じる事はしずくの生きざまであり、そこにはポジティブな感情で向き合っていてほしかった。スクスタとキャラが違うじゃん!というのはラブライブシリーズにはよくあることなので深くは追求しません。

本心を話すと嫌われるのではないか、という疑念が氷解し、自己表現に前向きになったというのがこの回のしずくの変化なのでしょう。しずくの語る「本当の私」がどんな姿なのかは、今後の描写に期待したいです。

 

第9話 仲間でライバル

果林回。

少しづつ名前の知られるようになった同好会は他の学校からフェス出演の誘いを受けます。しかしソロでやっていくと決めた手前、出演方法で悩む面々。果林は誰かが代表で出るべきだと口火を切ります。ともすれば場の空気を悪くしかねない意見をハッキリ言えるのは彼女の強い部分ですね。一人で写真に写り、比較されることも多いモデルの世界を経験しているが故の強さなのでしょうか。

その強さが評価され果林が代表に選ばれるのですが、フェス当日にアウェーともいえる会場の雰囲気にのまれ緊張してしまいます。普段気丈に振舞っている果林にも人並みの弱さがあることがわかります。

一人でステージに立つのは心細くて、勇気のいる事です。

しかし果林の口から不安が語られようとも、同好会の面々は競い合う相手だからと見放すようなことはせず、弱気な果林を励まします。ハイタッチで勇気をもらった果林は堂々としたパフォーマンスで観客の心をつかみます。作曲陣どうこうではないですが、TeddyLoid氏は物語の説得力持たせ過ぎですね。曲の強さはアイドルアニメにおいては物語の強度に直結します。

仲間だけどライバル。ライバルだけど仲間。

果林の自分に言い聞かせたようなこの言葉は虹ヶ咲で描くソロアイドルの姿、メタ的には9回連続してきた個人回の総括として完璧です。

 

第10話 夏、はじまる。 ・・・その前に。

9話で他のアイドルがいる舞台袖からではなく観客席からステージを見ることを選んだ侑の瞳には、あのステージがどのように映ったのでしょうか。その答えは10話以降の話で展開されていくことが予想されます。

9話まで個人回を連続させながら同好会としても物語を進めていくのは放送前からの予想の範疇であり、メンバーの誰かがフォーカスされそのキャラのMVでその話が締めくくられるという流れが予定調和として存在していたのがこれまでのアニメ虹ヶ咲でした。

しかし、10話から最終話では、より強固に一本筋の通った話を展開するのが予想されます。MVのない回も出てくることでしょう。

最終回までの展開は、既に発表されているリリース情報から紆余曲折在りながらも9人で1曲を歌う展開に持っていくのはほぼ間違いないと言えます。持論ですが、挿入歌は物語の説得力を補強するものであり、担保するものではありません。最終回で「曲は良かった」なんて評価は見たくないし、したくないですね。

素晴らしい物語が紡がれることを期待して、残りのアニメ虹ヶ咲を見届けましょう。

 僕は侑は歌わないと思っています。