本当の愛のない世界で生きる僕らは本当の愛を欲しがっている。

  今週、けものフレンズが世間(という名のネット)を騒がせた。

 

  この話題について意見を述べる前に、自分の立場をハッキリさせよう。

 

 まず、”たつき氏を有するヤオヨロズが”けものフレンズ映像化プロジェクトから外れること自体には憤慨していない。私はたつき氏の信者でもヤオヨロズの信者でもない、ただのけものフレンズのオタクだ。新たなクリエイターがけものフレンズの世界を広げるのであれば、それは歓迎する。

 けものフレンズプロジェクトA[以下、KFPA]がけものフレンズの芽を潰した、ということにやるせなさを感じるのだ。

 つまり私の意見は、たつき氏のツイートは波紋を呼ぶものではあったが、それはあくまでいちクリエイターのぼやきに過ぎず、問題に感じるのはKFPAからの「ご報告」だ、ということである。

 

 けものフレンズにおいて、これから生まれる世界を壊すような真似はあってはならないはずだ。吉崎観音氏が生み出した「けものフレンズ」というIP(知的財産権)をもとにメディアミックス先が自由に世界を描く、それがけものフレンズの魅力的なポイントであり、私がコンテンツに深くハマる要因であった。

 けものフレンズはメディアミックス先があることでその世界が広がり、IP自体もより強固なものになっていく、まさに「どこまででも続いてくグレートジャーニー」となりえる存在であった。

 アニメ化といえば最も影響力のあるメディアミックスであるといっても過言ではない。そのアニメという土俵で、けものフレンズは社会現象になるほどの大ヒットを遂げた。そんな熱狂の中、『けものフレンズ BD付きオフィシャルガイドブック5』の帯にて2期の制作が発表され、後日、公式のリリースでも新たなフレンズのイラストとともに新作映像制作の報が出された。

natalie.mu

 

 しかし、今回KFPAは(SNSでの反応を伺う限り)大勢の理解を得られない形でその制作からヤオヨロズが外れることを発表した。けものフレンズという自由な世界とはかけ離れた、現実世界のしがらみが透けて見える事態に私は深く心を痛めた。

 これはヤオヨロズより大きな存在であるKFPAの発表であり実際のところをこれだけでは判断できない(とするのは陰謀論が過ぎるだろうか)。

 というのもそもそも、アニメが製作委員会の発足前から作られていた、という事実がある。

www.animatetimes.com

 ヤオヨロズの福原Pとけもフレを立ち上げた梶井氏は、このインタビューで

――『けものフレンズ』の物語は、いつ決まったのでしょうか?

福原:委員会が結成されてビジネスが動き出す前に、実はすでにアニメの制作はスタートしていたんです。

――なるほど。一般的には委員会が固まってから、制作に入ると思います。

梶井:そうなのですが、我々は違いました。きっと制作前にアニメを何本も手掛けてきたベテランの方たちが入っていたら、何度も打ち合わせをしてプロットを何度も直したり、似たような会議を繰り返したりして、制作がなかなか進まなかったと思います。もしそうなっていたら、おそらくみなさんが想像しやすい普通の動物アニメになっていたと思います。

 という旨を語っている。もともと自由な環境で産み落とされたのがヤオヨロズのアニメけものフレンズである。

 今回の「ご報告」から察するに、既にけものフレンズのアニメ制作環境から自由は奪われているだろう。こうなることをヤオヨロズが予測していなかったが故の顛末がこの事態である。しかし、従来通りのアニメ制作では、「あの」アニメけものフレンズという世界は生まれなかった。ビジネスを度外視して生まれた作品の続きがビジネスによって潰されることは大変無念である。

 

 しかし、「ご報告」はアニメけもフレだけに影響を与えるものであるのか?

 

 その答えがNoであることが、私が「ご報告」にある種の憤慨を感じた理由である。

 

 アニメのヒットにより、けものフレンズはIPとして急速な広がりを見せている。舞台・けものフレンズカフェ・けもフレがーでん・各種企業コラボとすぐに思いつくだけでもこれだけあるが、今回の「ご報告」が、これらの現行の展開、そしてこれからのけものフレンズの展開に影響を与えたことは歴然である。

 

 今やけものフレンズは一大コンテンツである。

 

 ヤオヨロズが自分たちだけの世界で作品作りを出来なくなったのと同様に、KFPAの決断もアニメだけに留まる決断ではなく、けものフレンズプロジェクト全体、ひいてはそれに関わる全ての人に影響する決断である事に視野を広げられなかったのだろうか。

 広げられなかったからこんなに燃えてるんだろうね。悲しいね。

 

 ではこんな「ご報告」を出したKFPAとは一体どんな組織であろうか。

 KFPAはけもフレアニメ化に際して組まれた製作委員会であるが、その実態を確かめる術は(少なくとも私には)ない。どこの誰が何%出資しているのかは一般人の我々には不明である。

 

 そんな「アニメの委員会」以上の意味を持ちえない組織からの発表であるのに、たつき氏のツイートの印象からKADOKAWAが悪の親玉の様に語っている人の多さには辟易する。

 一方、そのような論調になっても仕方ない点もあるといえばある。

www.j-cast.com

  こちらのネットニュースの〆にはこんな文言がある。

J-CASTニュースは26日、名前があげられたKADOKAWAに対し、たつきさん降板の事実確認と経緯の説明を求めた。だが同日20時、広報担当は「本日(26日)中にこの件に関するリリースを発表させていただきますのでお待ちください」とだけ話した。

 この”リリース”に一致するものは先の「ご報告」しかないのである。KADOKAWAが大元のけものフレンズプロジェクトの出資者である事から、KFPAにもある程度出資していることは否定できない。そして、この「ご報告」はKFPAからのものである。ならばKEPAにKADOKAWAが参加しているのは火を見るより明らかであろう。

 

 それはそれとして、この「ご報告」は委員会全体の了承を得たはずの文言であり、決してKADOKAWAの暴走ではないという点を早とちりしている人々には理解していただきたい。立ち上げ人である梶井氏もKADOKAWAの人間である。吉崎観音氏もKADOKAWAとは『ケロロ軍曹』に代表される縁があってデザインを依頼された。つまりKADOKAWA無くしてけもフレはこの世には生まれなかった。(過去の悪行があるとはいえども)けものフレンズに関してはそのような前例はないので、一方的に悪に仕立て上げるのはいかがなものか。

 

 ちなみに「ご報告」にあった

しかし、アニメーション制作を担当していただきましたヤオヨロズ株式会社には、関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用がありました。

 という文言が指し示すのは各所で叫ばれている通り12.1話でしょう。

www.youtube.com

 こちら。

 他にもたつき氏が個人Twitterアカウントでしばしば3DCGを用いた画像を上げていたがそれらはまだグレーゾーンの範疇であると思いたい。

 しかし、本編アニメの幕間として成り立つこの動画の説明文には制作陣の名前はあるが、けものフレンズのコピーライトはない。いわゆる丸Cがないのである。

 一方他のアニメ映像を使用したコラボにはどこかしらで丸Cが確認できる。

 この点がヤオヨロズの関わった映像作品での明らかな差異である。

 

 12.1話が火種となり、今後このようなゲリラ的な作品を発表したいヤオヨロズ(たつき氏)とKFPAの意向がかみ合わなかったのだろう、というのが「ご報告」から読み取っても誰も文句の言えない見解である。

 

 たつき氏の擁護をしたいんじゃないか、と思われたくないのでKFPA側にも立場があるんだよ、という話を挟んだところでまとめる。まとめといっても完全に私の感想を書き連ねるだけなので悪しからず。

 

 

 

 この件は、リアル世界(ネット上の”リアル”も含みます)を癒してくれそうな世界を見つけたのに、そこに水を差す形で現実のやるせなさを大きく感じる出来事が起こってしまったってのが結局一番悲しく感じるところなのです。

 

 私に夢を見せてください。夢中になれる夢を。

 

 今回の『けものフレンズ』でなくても、作り手側が受け手を萎えさせる案件はたぶんいくらでもあります。でも、長く愛されるものってのは往々にして(過去に問題があったとしても)受け手に夢を与え続けているから愛されているんだと思ってます。

 だから、どうか夢をこわすようなことはしないでください。お願いします。

 

 けものフレンズに関してはまだまだ応援したいので今回のことがもうちょっと納得できる形で明らかになることを願っています。丁度けもフレライブの大阪追加公演のチケットが当選したので、どうか、夢が覚めませんように。

  

 

P.S. たつき氏の聖域であるかばんちゃんが今後見られないであろうことは、ただ悲しいです。